最後の日


1999年7月末、地球は阿鼻叫喚の地獄と化していた。
月ほどの大きさの天体が、ものすごい速度で回転しながら、
まっすぐ地球に向かっていたからだ。

この天体が発見されたのは2週間前。
ハッブル宇宙望遠鏡が、こと座の間を高速で移動する天体を
発見したのが始まりだ。

以来、事の重大さを知った各国首脳は、秘密裡に対策を協議
してきた。
しかし、そのあまりの大きさと高速回転ゆえに、考えられる
いかなる対策を講じても、地球とその天体との衝突回避は、
不可能との結論に達した。

地上では最後の瞬間を覚悟した者達の様々な生き様が交錯する。
静かに祈りを捧げつつ最後の時を従容として迎えようとする者、
最後の時まで束の間の快楽に走る者、略奪、放火、殺人・・・

異変が起きたのは、「その時」の3時間ほど前だった。
今まで近づいていた天体が、なぜか急に方向を変え始めたのだ。

そして、衝突予定時刻。

天体は、地球の軌道上から完全にはずれていた。
我々は助かったのである。

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天の片隅。神々の国。
得意げな恐怖の大魔人の横で、マルスとアンゴルモア大王の
拍手がわき起こる。

アンゴルモア大王は、感嘆しきってつぶやいた。
「さすがは大魔人。
 調子が悪いとはいえ、フォークボールの切れは見事だなあ。」



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